エニアグラムとは?

エニアグラム2

ギリシャ語で「エニア」は「9」を意味し、「グラム」は「地図」を意味します。 エニアグラムは人間の本質と動機を9つに分類し、 そのパーソナリティを的確に表しています。 エニアグラムの図形の正確起源は、 様々な説がありますが定かではありません。ですが、この図はまさに「心の地図」を表し、 自分や他者の性格を理解する上で重要な手がかりになります。 ただ単に人の心を9つに分類しようというわけではありません。 人は千差万別ですがその心の動きや考え方や行動をする動機が、 この地図の中に描かれているのです。 タイプが違えば動機も異なり捉え方も変わってきます。 性格全体の中で幾つかのタイプがミックスされていたり、 違うタイプの動機が影響していたりすることはありますし、 基本タイプというのがベースになりつつも成長のレベル(状態)に応じて表に出ている性格も様々です。 誰しもが漠然と、普段感じている”自分”や”他者”をこの地図が明確にし、 様々な人の本質を探るツールとして私達を導いてくれるのです。


9つのタイプ


タイプ1【改革する人】

几帳面でコツコツと物事を進めて真面目で努力家です。
完璧に出来ているかどうかを気にしていて、万全を期します。
上昇志向で、物事を達成しても満足せず、常に上を目指して精進します。
その一方で、不完全さを嫌う為、不得手なものや、間違えそうなことは行動を先送りしたりして避けようとします。 常に公平さと正義を心がけていて責任感も強く誠実な人ですが、融通が効かず、緊張を解くのが下手です。
自分の倫理観や信念には自信がありますが、それは自分の中にある「内なる批判者」が基準での正しさで、 自分の物差しで全てを推し量ろうとする傾向に通じます。
普段は温厚で人当りがいいのですが、心の中に怒りを秘めていて、 腹が立つと、批判的になり怒りを小出しにして苛々します。
「正しいことをしている」「間違っていない」ということで満足感を得ます。


タイプ2【助ける人】

優しく親切で親しみやすい人です。困っている人がいれば、力になろうとします。
人のニーズを掴むのが上手く魅力的な人ですが、自分のことより人のことに一生懸命になり、 なかなか自分の問題点に目を向けようとはしません。
自分が助けることで、特定の他者にとっては、なくてはならない必要な存在になろうとし、 巧みに他者を操作する側面もあり、パートナーが感謝せず、自分に目を向けないと、 「恩を仇で返した」と不満に感じて攻撃的になることもあります。
また、パートナーによって自分の姿を変えるので、 自分の欲求をなおざりにしパートナーとの関係に疲れ果てることもあります。
家族思いで子煩悩で人に尽くすタイプの人ですが、 いつもその見返りを求め他者に愛されることを願っているのです。
「人の助けになった」「人々は自分を必要としている」ということで満足感を得ます。


タイプ3【達成する人】

常に効率よく無駄のないように時間も人も使って目的を達成する為に働きます。
スマートで洗練されたイメージを持ち、身だしなみにも気を遣います。 しかし、気分屋でムラ気のところがあり、おっちょこちょいなところがあります。
感情のしがらみも自分の成功や高効率の妨げになるので、普段は自分の感情を見せない傾向にあり、 仕事人間で冷たいと感じることもあります。
自分のイメージを大事にする為、自分を売り込むことに長け、何事にも精通しているイメージを他者にもたらせ、 人々のお手本になり周りの人を惹き付けます。
物事が上手くいなくなっても、成功者のイメージに囚われて、 なかなかネガティブなことを言い出せず他者と距離をおくこともあります。
自分の価値を自分の成果(成功)によっての尺度ではかり、 他者にも成功者としての自分を認めて欲しいと願っているのです。
「物事が上手くいった」「効率よく出来た」ということで満足感を得ます。


タイプ4【個性的な人】

人生に感動を求め自分の感情を味わおうとする人達です。
感受性が強く創造力豊かで、芸術で才能を発揮する人もいます。 また繊細で人一倍、気がふさぐことがあり自分の感情の殻に引きこもりやすく 極めて個人的で内面的な世界の中で生きています。
物事への拘りも強く独自性を大事にします。
自由に自分を表現できるもの(趣味や仕事)などに没頭している時などは生きているという実感を感じ、 またスピリチュアルな世界へ、深い関心を寄せます。
また常に、理解されていないという思いも強く、自分の内面に他者をいれたくないと思うこともあります。
自由を望む永遠の少年(少女)のようなタイプです。
この人達は「私は特別な存在である」「人とは違う(独自)」ということで満足感を得ます。


タイプ5【調べる人】

常に冷静で知的であろうとする人達で、周りの状況に流されず物事を正確に客観視できる観察眼を以ています。 理解力も高く、ありとあらゆる情報を集めて、今後の予測を立て検証しながら行動する人です。
タイプ5の人は、あまり表情を変えることもなく感情表現が苦手で口数も少ないので、 「冷たい」とか「拒絶」という印象を人に与えるかもしれません。
他者に煩わされることを嫌い、人から離れてひとりの時間を好みプライバシーを非常に重んじます。
実際にプライバシーを侵害されることには強い不快感を持ち、 侵害してくる人にはさらに距離を置いて寄せ付けません。
また無駄なことや意味のないことを嫌い、熟考して理に適ったシステムや理屈に基づいて行動します。
「私は冷静で落ち着いている」「知的である」「理解している」ということで満足感を得ます。


タイプ6【忠実な人】

真面目で誠実な人達で、信頼できる仲間や家族との絆を大事にします。
責任感があり社会や属する組織に順応して生きていきたいと願い、 良い一員(メンバー)になろうと自分の役割を果たし努力します。
権威や自分に影響を及ぼす力関係はよく観察していて、信頼できる権威であれば従順で忠実に支え、 そのことで自分も守られようとします。
逆に、信頼できない権威であれば災難が降りかからないように警戒し反抗的にもなります。
この人達は不安を持ちやすく疑念や恐怖心が内面に多くありますが、 その実は不安や恐怖心に根拠がないことも多く、 「自分が思っているほど恐ろしいことではなかった」ということも多々あります。
ゆえに何よりも安全を求めて慎重になり最悪の事態に備えるという用心深さを持っています。 「私は守られている」「私は信頼される人間である」ということで満足を得ます。


タイプ7【熱中する人】

楽しく明るいことが大好きで人生の良い面だけを見ながら楽しく快適で幸せに生きていきたいと願っています。 何事も楽しみ尽くそうと動きまわりエネルギッシュな人達です。
いろんなプランを立てて提案し実行に移そうとしますが、必ずしも「有言実行」とはいかず、 途中で頓挫してしまうこともあります。
しかしこの人達は、自分を見つめて振り返る時間よりも また新しいプランを立てることに熱中して周りを困惑させることもあります。
無邪気さと子供のような天真爛漫さがあり、憎まれまいキャラクターを持っていて人気者で多くの人を惹きつけます。
またナルシストで「私は素敵だ」という自己感覚を持っていて人の批判では傷つきません。
「私は幸せだ」「可能性が無限にある」ということで満足を得ます。


タイプ8【挑戦する人】

活力にあふれ自分に自信を持って自分の思い通りに行動するパワフルな人達で生まれ持ってのリーダーです。
正義感が強く弱者を庇い卑怯な人や理不尽なことには立ち上がって戦います。
生命力が実感できることであればどんなに長く険しい道のりでも 歩み続けることが出来る並はずれたエネルギーを持っています。
自己信頼に厚い反面、人の善意を信じることが難しく、 隙をつかれないようにいつも防御していて攻撃性も強いので人間関係にトラブルを生じる場面も多くあります。
反面、内面には繊細さも秘めていますが 自分にも他者にも「弱さ」を嫌うので人に傷つけられないように鉄の鎧を着けているのです。
「私は強い」「私には力がある」ということで満足感を得ます。


タイプ9【調停者】

落ち着いていて人あたりもよく穏やかな人達です。
一緒にいる人を和ませてくれ「なんとかなるでしょ」という楽観的なところがあります。
権力や功利に興味はなく、自分の思ったことを主張するよりも周りとの調和を図り安定した関係を図ろうとします。 誰に対しても同じ態度で受容的で聞き上手で相手の思いを正確に理解することができます。
また、優先順位をつけるのが苦手で何事も後回しにしてしまいがちで、 中々行動を起こそうとしないので周りがイライラするという場面もありでしょう。
自分の欲求を軽視し他者に表面的に合わせて自分の葛藤を避けようとしますが、 自分の安定を無視されて強制されると、動かないことで抵抗する頑固さも持っています。
「私は安定している」「何もない(平和)」ということで満足を得ます。


3つのセンター

エニアグラム3

エニアグラムの9つのタイプは、3つのセンターに分けて観察することが出来ます。


◆心(感情)センター

タイプ2・タイプ3・タイプ4
・関わっていること:偽りの自己を愛すること。自己イメージ。
・問題:アイデンティティと敵意
・求めるもの:関心
・潜在的感情:恥

感情センターの人は「アイデンティティ」に深く関わっています。 自分が何者であるか・・・・他者から見てどういう自分であるかということ踏まえて自己の存在を感じています。 彼らは自分が持つイメージを他者にも呈示し、それが愛や関心、 同意または評価を他者から引き寄せるものだと期待します。


◆頭(思考)センター

タイプ5・タイプ6・タイプ7 ・関わっていること:戦略と信念
・問題:不安と心配
・求めるもの:安全
・潜在的感情:恐れ

思考センターの人は「導きとサポート」の感覚と深く関わっています。 思考タイプの人は、今ここに起きていることが今後、 何に繋がりどう影響していくかということを頭で考え、 たゆまぬ思考の中で周囲を観察し安全を得ようとします。


◆本能(腹)センター

タイプ8・タイプ9・タイプ1
・関わっていること:抵抗と周囲のコントロール
・問題:攻撃性と抑圧
・求めるもの:自立
・潜在的感情:激怒

本能センターの人は、「生存」に深く関わっています。 感情や思考を先ずは身体で感じ取りいかなる形においても身体が重要な役割を果たします。 彼らの言う”直感”というのは頭で考えたことでも心で感じたことでもなく、 今この場に起こっていることを身体で感じ取った感覚なのです。 彼らは意思を持って自分が影響を受けることなく世界に影響していこうとします。


これらは、意識的に行っていることではなく、無意識の中で形成された性格の特性として存在します。 エニアグラムを学ばれて顕在化していくことで、真の自分の問題を把握することが出来ます。

ホーナイによる分類

ホーナイによる分類として、 ドン・リチャード・リソ&ラス・ハドソンが新フロイト派のカレン・ホーナイの神経症に関する理論から、 エニアグラムの各タイプに照らし合わせて対人関係においての特性を三つのグループに分類したものです。 ここではリソの理論を用いて解説しています。

§前進グループ 【自己主張型】

タイプ3・タイプ7・タイプ8
◆自己主張タイプは、自己中心的で自我拡張型です。 <タイプ3>は自分の存在価値を主張し、 <タイプ7>は自分の不安を回避する為に主張し、 <タイプ8>は、自分の怒り(理不尽さ)を主張します。 ストレスや困難に対応するのに、自我を強化して肥大させます。 困難に直面した時は、後退したり他の人に守ってもらうのではなく自我を拡張させます。 この3つのタイプは自分の気持ちに触れにくいという問題を持っています。


§追随グループ 【追従型】

タイプ1・タイプ2・タイプ6
◆これらの3つのタイプは、他人の役に立つ必要があります。 <タイプ1>は自分の内の正しさへ、 <タイプ2>は他者のニーズへ、 <タイプ6>は、自分を守ってくれているシステムに対して忠実です。 彼らは、擁護者であり改革者、責任ある職業人です。 この3つのタイプはすべて、困難やストレスに対応するには何をする事が正しいのかを知るために、超自我と相談します。 追従型は、必ずしも他者に対して追従型ではないと理解する必要が重要です。 自分自身の超自我の要求に対して、きわめて追従的です。



§マイペースグループ 【遊離型】

タイプ4・タイプ 5 ・タイプ9
◆これらの3つのタイプはすべて、世界との関わりから離れ想像の世界に入っていくことで、ストレスに対応します。 <タイプ9>は安全で気楽な「内なる聖地」へ、 <タイプ4>は夢想的で理想化された「空想の自己」へ、 <タイプ5>は複雑で頭を使う「内なる知慧」へ、退いていきます。 これらのタイプは、ストレスを受けると自分の世界に留まります。 影響を受け動かされる力を感じると受動的になり自分の殻に閉じこもり自分自身を守ります。 想像の世界から出て、行動するのが難しいのです。